あらすじ
コンビニ強盗事件に巻き込まれ、刺されたショックで記憶を無くした大学生、吉原亮二。病院で目覚めた彼の傍には、自らを「リリ」と名乗る女がいた。 亮二と親しい仲だったと思われるリリは決して本名を名乗ろうとせず、「思い出して」と言うばかり。 最初はそんな彼女に心を開けない亮二だったが、何気ない日々を過ごすうち、徐々に心を通わせていくようになる。
少しずつ、失った自分の人生を取り戻していくかに見えた亮二であったが…。
作品解説
大学に入って2本目の長編作品。
同級生の原案をもとに脚本を書いたのですが、その原案の面白さに引っ張ってもらった部分も大きい作品です。クライマックスに物語の柱となる大きな仕掛けがあって、僕はそこに「時間軸の操作」や「名前の謎」といった小さな仕掛けを散りばめて、味付けをしたという感じ。不穏な空気を漂わせながら進む学生恋愛もの部分と、明かされる真実に向かっていくサスペンス部分で両極端な作風を行き来しながら、学生の自主制作ではなかなかできないタイプの演出でいっぱい遊べる作品だったので、撮っていてすごく楽しかったです。一つの作品に複数の作風を共存させる面白さに目覚めた作品でした。
もちろんまだ拙い部分もいっぱいあるものの、暗い話ながら意外とキャッチーに仕上がって学内上映会での評判もなかなか良く、1年生の女の子達に「リリよかったです~」と言ってもらえる幸せな時間を過ごせました(笑)。
(2008年/DV/90分)