『現実』と『劇中劇』。ふたつの物語が交錯する、アラサー小劇団の遅すぎた青春ストーリー。

あらすじ

 東京の小劇団「クオンタムフィジックス」の主宰・佐々木は、30歳を目前に控え、グダグダになっていた劇団を立て直すために3年ぶりの本公演を打とうとする。
 それは、パラレルワールドを行き来する時間旅行者たちが最後のタイムトラベルを通して破滅していく、悲しい運命を描いたSF作品だった。
 しかし、相棒として旗揚げから一緒に活動してきた看板女優の中川はすでに就職。他の現役メンバーや元劇団員も、それぞれ割り切れない想いや事情を抱えていた。
 商業現場との板挟み、バイトとの両立、劇団運営のスタンス、そして人に言えない恋愛模様…。
 果たしてギリギリの若者たちは、失われかけていた「ありえた自分たちの未来」を、この演劇を通してつかむことができるのか?
 彼らのふたつの物語が、たどり着く結末とは……。

予告編

キャスト

須田暁 空美
藤野政貴 広瀬斗史輝 本間理紗 和田修昌 浜野なおみ 瑞貴
竹田哲朗 片渕真子
江幡朋子 栗栖裕之 田村祐貴 水野夏子 中村康介 保土田智之

スタッフ

監督・脚本:堤真矢
企画・製作:Tick Tack Movie

撮影・編集:堤真矢/照明:竹本勝幸/録音:磯辺康広/助監督:松岡寛 長谷川加織/舞台監督・舞台美術:品田裕介/舞台衣装:ai/舞台照明:大山浩平 亀井美緒/ダンス振付・指導:平石祥子/アクション振付・指導:福澤利之/舞台ヘアメイク:和佳奈/ヘアメイク・衣装協力:TamA/音楽:川尻大輔/レコーディング & ミキシング・エンジニア:庄司潤平/宣伝美術:吉崎淳史/制作:鬼頭扶実/マスコットキャラクターデザイン:moca

主題歌『長い夜ふかし』えとうゆかこ
https://youtu.be/P4EbCvklgso

作品解説

 東京に来て10年。大学卒業後初、そして東京での初の長編映画作品です。
 この作品については、色んなところで語る機会があったので、改めてここに書くこともあまりないのですが…。

 もともと、2010年のコメディ作品『劇団ハッピーエンド』の続編を「20代後半に差し掛かった彼らのしょっぱい人間ドラマ」として作りたい、というアイデアがずっとあって、それが独立した新作として生まれ変わった作品です。(だからキャラクターの名前が同じだったり、ちょっとした小ネタの繋がりはあったりするのですが、作品自体は続編というわけではありません)
 なかなか長編を撮れぬまま僕自身も気づけば30代になり、未だ「何者でもない」という感覚や、「収束していく人生の可能性」みたいなものが、この作品について考えていたどの時期よりも切実なテーマとして感じられ、作るなら今しかない、今作らないともう作らないだろう、という思いにかられて、制作を決意しました。

 また、近年はスマホ仮面にしても浦島にしても、どちらかというと自分の得意分野とは違うキワモノな作品に挑戦することが多かったので、今回、今後数年自分の名詞になるであろう長編を作るにあたって、「自分らしさ」を「日本の映画界」の中に位置付けられるような題材って何だろう、みたいなことも、本作を選ぶ上で考えていた気がします。

 そうして出した答えが、「何者でもない作り手」だからこそ語れる物語、ということでした。

 いつもより一歩生々しく、割り切れなさに踏み込んだドラマを語ることを目指しつつ、『劇団〜』の時以上に複雑に現実と劇中劇が交錯する構成や、SF的世界観を感じさせる雰囲気づくりなど、ギミック的なところでも自分の好きなもの、得意なものを詰め込めるだけ詰め込んだ、本当に、集大成的な作品です。至らなかったことも含め、当時の自分のベストは尽くせたと思います。

 今まで数だけはたくさん作品を作ってきて、作れば作るほど満足へのハードルが高くなっていくものなのですが、それでも今回はようやくいっぱしの「映画」として世間様にお出ししてもギリギリ大丈夫なレベルの、入り口には立てたのではないかな…とは、思えています。初にして念願の「劇場公開」も実現することができ、間違いなく自分にとって一区切りとなる作品でした。

 あとはこれから、この作品を作ることで自分自身にこびりついてしまった「何者でもない作り手」という自虐的なアイデンティティとどう決別して(あるいは決別せずに)、映画監督として次のステップを踏み出すかということが、自分自身に問われている気がします。

(2019年/HD/121分)

公式サイト

http://pwt.ticktackmovie.net/

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